だんじりの南実業

春頃だったか。キチキチハウスの工務店・南実業の社長さんから連絡があった。
「庄司さんや、今度のぉ、だんじり作ることになってのぉ」 
出来上がったらぜひ見に行くと返事をしておきながら、すっかり忘れていた時分、「庄司さんや、だんじりようやく出来てのぉ、来週に納めるんや。 良かったら、見に来てくれんかのぉ 」と電話があった。 さらに、社長さんの奥さんから、「庄司さん!来週の月曜日おいでや。テレビ局来よるねん!」
キチキチハウスの施主さんと連絡を取り、月曜日は無理だけど日曜日に伺うと返事をした。

久しぶりにキチキチハウスを訪れ、夕方ごろ、南実業さんの工場に向った。南実業さんの工場は、淡路島に来た甲斐があったと思うほど野山の見晴しの良い場所にある。遠い山までが、自分の庭に思える。
「スゴ~イ」工場についた時、皆が口をそろえて言った。大きな工場の中では小振りにも見えるけど、何しろ出来上がって湯気の立つだんじりを見るのは初めてだ。木目を生かしてケヤキを使ったという、だんじりは高さがおよそ4M。
河内の町内会からの要請で、まわりまわって南さんへ依頼がきたらしい。「そんなもん作ったこと無いでのぉ、訳わからんや。図面もないし、みな実測しよったのよぉ」 らしい。だんじりの専門業者に頼む資金がないことから、およそ半値で請け負ったという。 現地での実測中の写真なども見せてもらった。 
それにしてはオミゴト。

おおまかな彫り物は地元の業者さんに頼んだのだが、時間もないことから、獅子やら、鳳凰やら、龍やら、細かな装飾は中国製らしい。それらは皆、インターネットで注文。 地元業者だけでやっていれば、それはきっとスゴ~イ金額になることだろう。タルキの先に付くような金物も、インターネットで注文したという。 ゆったりした雰囲気の南さんがネット注文とは、勝手な印象から違和感が漂う。が、そのあたりはチャキチャキの奥さんや息子さんが活躍されたのだろう。伝統を守るのに、インターネットはきっと有効な手段なのだと思った。

「ほれ、あそこ見てみ。はじめてやけど、『だんじりの南実業』やでぇ」屈託なく、奥さんが指さした。
「キチキチハウスはだんじり屋さんに作ってもらった事になるなぁ」 施主さんも悪く無い様子。
ついでに、ピーカンもだんじり屋さんと仕事をした訳である。この日、だんじりは洗い屋さんに綺麗にしてもらい、最後の仕上げ中。最後の最後、龍の彫り物に紅色の彩色をしているところでした。後少しで完成し、明日には地元テレビ局に撮影してもらい、2日後には河内へ納品に向います。

インターネットを使った最先端の製作過程もさることながら、南さんの自慢はコレ、『ディスクブレーキ』 。何を隠そう、だんじりにディスクブレーキが取り付けられるのは、コレが初めてではあるまいか。
だけど車輪は丸太。なんとも不思議な組み合わせである。また、丸太の車輪は普段は水に付けて保管しておき、使う時にだけ取り付けるのだそうである。 車軸にはベアリングも使い、1人で動かせなくも無いと言う。 河内のだんじりはゆっくり町内を廻るので、大丈夫とは言え、「ブレーキの効かせ具合がまだまだよぉわからんのよぉ。」と南さん。
模倣に終わらず、現代の技術の利用にも意欲的な南さんが頼もしい。

ということで、この方が「だんじりの南実業」社長の南さんである。キチキチハウスの施工者でもあります。いつもニコニコしながら、キッチリした仕事を優先される姿勢はとても好感がもてます。帰りがけには、完成祝いの菓子袋まで頂きました。愛着をもってだんじりに寄り添う南さんが、とても印象的。
だんじり作るなら、「だんじりの南実業」さんへ。
いえいえ、建築のお仕事も。 

(南さんへの連絡先は)

南実業 
兵庫県洲本市中河原町市原739-2 〒656-0005
tel:(0799)28-0312 / fax:(0799)28-0213

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