擁壁の上?崖の下?

SHIKICHI

土地探しをしている施主さんから、ウラの擁壁が気になるのだけど安全でしょうか?と質問される事が今までよくありました。街中の平坦な土地を探しても、意外に擁壁の絡む土地は多いものです。先日の記事()でも、奥の方に古めかしい石積みの擁壁が見られました。こうした擁壁は結構厄介なものです。

宅地造成の法律では「敷地の安全」が名目にあるだけで、これは「建物の安全」を意味するものではありません。この微妙なニュアンスはなんだかいやな感じです。その時代において標準的な建物の荷重を考慮して基準は設定されていますが、真新しいコンクリートの擁壁で囲まれているからそのまま家を載せても安全ですとは、詳細な設計を進めてからで無いと本当のところ分かりません。また、目的の土地が擁壁の上なのか、擁壁の下なのかで考慮すべき内容も変わってきます。

擁壁上の土地の場合。

現行の基準では、擁壁上の土地には上載荷重を最低10KN/m2 以上とされていますが、これは1m2 あたりにおよそ1tの重さを載せれると言う意味で、木造2階建ての重さをおおよそ想定した目安になっています。では建物の重さは?というと。

構造 自重+積載荷重
木造2階建 600kg/m2
木造3階建 900kg/m2
鉄骨2階建 750kg/m2
RC造2階建 3,200kg/m2

この表は概ねのイメージですが、3階建てだと結構一杯ですね。しかもこの重さはしっかり厚みのあるベタ基礎などで平均的に重さがかかった場合です。そう聞くだけでも、なんとなく余裕の無い話だと思えてしまいます。なので、擁壁に近づく程建物の安全は損なわれると考えるのが妥当です。

少し郊外の切り開かれた開発地に行くと、見晴らしは良いのでしょうが、3階分ぐらいあるだろう高い擁壁の上に家が軒を連ねている事があります。同業者の仕事を疑う訳ではありませんがやっぱり怖い感じがします。 昔の石積の擁壁ならなおさらです。古い宅地の擁壁だと5KN/m2 以上という基準の時期もあります。単純に平屋が目安であり、まだ郊外では2階建てが少ない時代の基準だったわけです。その時は、まだまだゆったり建てれるイメージがあったのでしょうね。

擁壁下の土地の場合。

擁壁や崖が背中にあると崩れはしないのか心配になるものです。ところで建築の基準では、崖の高さと同じだけ逃げなさい。とあります。しかしそんなに離れたのでは、建てれる土地が無くなってしまいますね。しかし、もしコンクリートの裏ごめもない昔の石積みの擁壁があれば、同じことが言えます。

もし基準を満たした擁壁を背中にしていても、その擁壁の上に建物があるなら要注意。上の建物が杭など何の配慮も無しに建っているとすれば、その擁壁に建物の重さが掛かって微妙なバランスで成り立っているかもしれません。しっかり考慮されているのが確証が無ければ避けるのが懸命です。

ところで崖や擁壁は上から崩れると思われがちですが、実際には重さを抱えてスプーンですくう様に土が滑ると考えます。山間部の道路の崖崩れなどの写真を見ると、丸く削り取られたような事になっているのが分かる筈です。擁壁の上端あたりを中心に上の土地から下の土地まで根こそぎゴソっとすくい取るように滑る可能性があるのです。崖の高さと同じだけ逃げなさい。と言うのは話はそうした現象から考慮した話なのですね。
崖は上から崩れるとばかり思っていたところ構造設計の方にその話を教えてもらい、崖って怖いな〜と上ばかり見上げていると足下をすくわれるのだと知りました。

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Comments 0

  1. hifumiyo 20080929

    コチラこそご無沙汰しています。
    古い擁壁はともかく、昨今、新しい擁壁でもA事件とかでなんだか心配になりますよね。地面の上に建つ建物はまだしも、地面の下ってやっぱり分かりません。建築に携わらなかったら、見晴らしの良さで全てOKなんて事にもなりかねない。(笑)
    おっと、取材ですか?コチラには特に連絡は無かったですが、人気?で良かったです。本になったら、また教えて下さい。

  2. KEI 20080929

    どもどもご無沙汰しています。

    土地探しをしていた頃を思い出しました。
    擁壁には泣かされましたっけ・・・

    あの時見ていた土地は、いくつか後日見に行ったこともあります。
    ほぼ全てに新しい家が建っていて、不思議な気持ちになりました。

    そうそう。

    来週工務店さんがらみの取材を受けます。
    「子育てする家」
    だそうです。

    大掃除しました(笑)

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