映画「ももへの手紙」

久しぶりの更新がアニメネタであったりして至極恐縮なのだが、先日久しぶりに映画館で観たアニメ「ももへの手紙」はとても良かった。瀬戸内の島を舞台に母娘と物の怪が出会い、亡くなった父親への想いから立ち直るまでのしばしの物語。細やかで丁寧な表現が嫌みなく、人物描写が島の風景や日常に溶け込みリアリティ溢れた豊かなものになっています。観賞後がとても爽やか。

映画を観た後、パンフレットを購入し一読。その中で、制作過程が紹介されている文面にアニメの中のリアリティについて書かれた一文が気になった。実写であると映像の中のものは衣服でさえ常に動きがあるが、アニメでそこまで表現してしまうと意識が散らかること。全速力で路地を走る少女が、通りに出る角で出会い頭にぶつかりそうになった老人を間一髪で避けるが、現実には到底無理な動きなのに観る人がさも実際に避けきったイメージを抱かせる動きなど。
アニメの中では日常的なことでも実際にはあり得ないことを、観客にごく自然な現実として受け止めさせる技術は、単に絵が動くだけで出来ることではなく、監督をはじめとしたアニメーターの方々の非常にきめ細かな観察力があってはじめて成立するものだろう。

これまで観たアニメに感じることの出来たリアリティとまた少し違った感触があり、観ながらもどことなく気になっていた。パンフに書かれた文面から、そこを気に掛けて制作したスタッフの思いなのだろうと推察してみたい。建築(特に住宅)を考え創るときも、そうした観察力があるなしではまるで違うものになるだろう。それをどう表現できるかが、きっと力量や個性に繋がるのだと思う。

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